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『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』感想

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン

著/宇野朴人 イラスト/さんば挿

隣接するキオカ共和国と戦争状態にある大国。カトヴァーナ帝国。その一角に、とある事情で嫌々、高等士官試験を受験しようとしている、一人の少年がいた。彼の名はイクタ。

戦争嫌いで怠け者で女好き。そんなイクタが、のちに名将とまで呼ばれる軍人になろうとは、このときは誰も予想していなかった……。

戦乱渦巻く世界を、軍人としての卓越した才で生き抜く少年イクタ。その波瀾万丈の半生を描く、壮大なファンタジー戦記、ここに開幕!

個人的評価(面白さ):☆7

ジャンル:ファンタジー・戦記

初めて戦記ものを読みました。その初めてが、『天鏡のアルデラミン』で

ほんとうに良かった。素直にそう思える。

何者も、こうやって面白いものを読むことで、また新たなジャンルに興味を持てるようになる。

私にとって『天鏡のアルデラミン』は、一つの物語以上に、「大切な作品」になっていくような、そんな気がする。


「本当に面白い」という感想をよく見かけるので読んでみました。

結果は、誇張も過大評価もなく、「本当に面白い」。

ライトノベルなのに)こんなに文章が詰まってて、

無駄が無くて、

皮肉が効きまくってて、

頭のキレるキャラが複数人いて、

そのキャラ同士の会話が読めて、

予想もできない展開の連続で、

その展開の全てにちゃんとした理由と解説が付いてて。

それでいて、物語に登場する人物達は、その等身大の信条や事情を内に抱えながら考え、行動する。

そこに人物としての生き様を見ているような気がして、

感動するというか、胸に熱いものが込み上げて来て、

物語へと没入させられる。

その結果が、「本当に面白い」。

そして最後の最後でやってくれた。

壮絶なネタバレになるから書けませんが、

「こういうのが読みたかった!!!!」

と、声を大にして叫びたい!(叫んでる)


プロローグの数ページ。驚くことにここから圧倒された。

伝説の始まりを目にしている…そんな気分を疑わないほどに圧倒された。

そして1章へ移ると、また違った面白さに圧倒される。

『皮肉』が次から次へとやってくるのだ。

ここで多くの人がこの作品に対する面白さを確信するだろう…。

それほどまでに皮肉が効きまくってる。


物語の舞台は「科学」が未だ、いや、少しも発達していない世界。

もちろん「科学」という言葉すら人々は知らない。

そんな世界に一人の怠け者の少年がいた。

そして彼は言うのだ。「それは非科学的だ」と。


ーここからは完全に個人的な感想。ネタバレっぽいものも含まれているのでご注意。ー

こんなに世界観に没入させられた作品は久しぶりでした。

とにかくラノベなのに文章で溢れてるし、文章にキレがあって無駄がないし、こんなに読んでいて気持ちいい作品は米澤穂信舞城王太郎の作品以来かもしれない。

「読んでいて気持ちいい=世界観に没入できる」と言えるのかも。


こんな平和な時代だからこそ、こういう反旗を翻すような物語っていうのは必要だと思うし、

大きな意味・価値があると思う。

ヘヴィーオブジェクト」でも超巨大兵器が兵士や戦車や戦闘機の代わりとして戦う戦争が描かれる。

人々は「戦争」を長く懐疑的な想いを抱きながら続けるのではなく、

「クリーンな戦争」、「代理戦争」という言葉を当てはめて「試合」のように行うのだ。

そしてこのアルデラミンの世界には「科学」や「新たな視点」が持ち込まれて新たな戦い方や価値観が生まれようとしている。

(新たな世界が生まれようとしている、ということが言いたい)


王政と軍事力によって支配されているのがカトヴァーナ帝国だ。

一部の貴族が富を独占し、民は貧困。

内政は虫喰い穴状態で、もうまともな、健全な状態ではない。

これをどうやって健全な状態にするか?

鍵となるのは「科学」や「新たな視点」(のはず)。


軍事力で支えている状態が「根気」や「気合」だとしたら、

目指している健全な状態は「合理的な」や「クリーンな」という言葉が合いそうだ。

(まあこれがどこまで当たっているかは分からないが、

そういうものを期待させる。)

または一度王政をぶっ壊して政府機関のようなものを作ると言ったほうがイメージしやすいかもしれない。

・・・言ってしまえば「革命」。

革命のようなパラダイム・シフト――転換期の物語は読んでいてワクワクさせられるし、

常識を飛び越えたものが多いので余計熱くなる。

私はそういうものが大好きなので、どういう筋を辿ろうとその大筋だけで好きになってしまいそう。


そのぶっ飛び方と面白さに「羽月莉音の帝国」を彷彿とさせられました(最大の褒め言葉)。

羽月莉音の帝国は私の中では伝説的な作品なので。)

話の内容的に着地点はおおよそ決まっているだろうし、どうなるかなー。

楽しみで仕方ない。

こんな感じでしょうか。個人的な感想が長くなるのはもうどうしようもないみたいですね。

是非を問わず、とてもお勧めしたい作品です!

あ、今井麻美さんがよく(?)演じる冷静でツンツンしたようなキャラが好きな人にもおすすめです。

その他この作品が気になる方・好きな方にお勧めしたい作品は

ヘヴィーオブジェクト」、「C」、「ガッチャマンクラウズ」。

新世界より」(もちろん原作の方)や「ハーモニー」もいいかも。


「質ラノベ」について語ろう 作品編

こんなラノベ選びの参考にもなるまとめにも名を連ねてました。

納得できる作品が多かったので紹介しておきます。