超絶ネタバレ注意な感想:俺が生きる意味3
著/赤月カケヤ イラスト/しらび
ジャンル:パニックホラー
評価(個人的面白さ):☆7(8段階中)
うわぁぁあああああああっっっ!!!(大泣き)
斗和はっ!斗和は悪くないんだぁぁああああああああっっっ!!!!!
読み終えて、目を閉じ読後感に浸っていたら、涙が出てきた。
あまりの凄惨さに、泣かずにはいられない。
まず、久しぶりに「俺味」に接して、この作品の凄さに気づいた。
それは1,2巻について。
パニックホラーでは「音」が敵に気づかれる要素として度々登場する。
その中で本作にも「音」は出てきた。
当然、僕は「あぁ、やっぱり出るものなのか」と思った。
でも、この作品はその上をいった。
人が移動する音やものに接触したときに鳴る音。
音を立てなければ、化物に気づかれることはない。
しかし、人間には、唯一消せない音がある。
それが「心音」だ。
こんなの、どうあったって絶望的。
そこに着眼して、読者の予想の上をゆく。
凄いと思った。
とは言ったものの、僕が、はたまたほとんどの人がたまーに接するパニックホラーってゾンビものですよね。
だから化物が出てくるものには接してないわけで…。
「そういうものの差が現れた」とも言えるのかなぁ、と読み返していて思ったので追加で。
次から3巻の感想です。
・1章について。
化物の蔓延る世界を生き抜き、現実世界に戻ってきた斗和。
彼を待っていたのは、あの世界で死んだ人たちが現実世界で意識を失っているという、
受け止めようにも受け止めきれない現実。
そんな変わってしまった現実――日常ではあるけれど、物語の鍵となるであろう要素が幾つか出てきた。
『神悠言』とか『神代』とか。
この二つが出たことで自分の中で世界観が一気にひらけた。
そんな中でも緑髪の少女――たぶん皐月という娘だと思うんですが――が「~っす」って言った時は心臓が勝手に早鐘を打った。
なんでかって、そりゃ「キミとは致命的なズレがある」の山美鳥(字間違ってないことを祈る)が「~っす」っていう語尾だから・・・。(個人的な趣向だけど、ライトノベルで好きなキャラを出せと言われたら高確率で「山美鳥」が出てくるくらい好き。)
まず「~っす」と話す女の子が出てくる小説自体少ないけど、たまに出てきてもなんか空振りしてる感じが強いんだけど、カケヤさんの描く「っす」が語尾の女の子はその場の雰囲気を変える力を持っているっていうか、とにかくすごくいい!!
あらすじに「アインズヴァッハの門」を潜った「殺人鬼」という言葉があるだけに、「キミズレ」と関連があったらいいなと思っていたら「~っす」ですよ!
見た瞬間まさか!?と思いましたよ!まあ違う人物だったんですけど!!
『神悠言』メンバーは、初登場でいきなり場に馴染んでるというか、かなり心惹かれました。
化物の出てこない現実編が読みたくなった。
というか、今の状況じゃ現実も放っておけないんじゃないかな・・・。
何かありそうな櫛灘高校や神悠言との掛け合いがすごく楽しみ。(あればの話ですが)
銀河は『ッ!』がどういう話し方なのか想像出来なくて肩透かし食らってる感じで困ってたけど、今見てる超次元ゲイムネプテューヌのネプテューヌの話し方をふと思い出したら、ピッタリ合ったのでそのあとは想像しやすくなった。
一花は同じくネプテューヌのピー子みたいなキャラだな~と思って少し微笑ましかった。
小学生がすんなり出てきても特に違和感覚えない、萌え萌えしてないのって個人的にはとても好感が持てる。
ここまですんなり出てきて可愛い激おこぷんぷん丸もなかなかない。
「よくわかんないけど、一花はあざといのでいいと思います!!」
(どっかのアホロリシスター風)
しかしそんな日常もここまで――。
今思えば、ノマ氏は開幕のベルのようなものだったなぁ・・・(遠い目)
・2章。
タンガロアの初登場シーンはエグかった。グロいというよりはエグかった。
読んでていたたまれなくなる感じというか、ここまでやるかぁという感じというか。
しらびさんの描いた一花の挿絵が可愛かった。肩出しとかブカブカしてる服装はかなり好きです。
シャバ怖すぎ。しらびさんいい仕事しすぎです。
そして今巻も健在の構内図。わかりやすくて助かる。臨場感も出て一石二鳥ですね。
・3章。
銀河が死んだときは、言葉が出なかった。まさかこんなに早く死ぬとは・・・。
笠根木くんは斗和に対しては好印象とは言えないけど、正義感出てていいなぁ。
まあ、仲間を失っているから言えることであって、仲間を失ってなかったらボロクソ言ってたと思う。
毒で動けなくなった時はさすがの斗和さんも死ぬかなぁと思った。
緊迫感は今巻中一番あった。
・4章。
人面百足との水中戦は、「新世界より」を彷彿とさせた。
「新世界より」へのオマージュなのかな、と。
1巻のあとがきで貴志祐介氏の「新世界より」を読んで、この作品を書けると思った(またはそれに準ずること)と書かれていたこともあるし、あながち間違いではないんじゃないかな!?なんて。
日本斗和【スキル:ラッキースケベ】 みたいな。
日向さんの対応が素晴らしかった。
銀河は斗和のこと好きすぎて頭ゆるくなってる感じが可愛い。
・5章。
章タイトル見たときおいおいマジかよって思いました(思いました)
『その紫は走り去る』って日向さん紫ショートカットで大学生ですごく気に入ってたのにやっぱ怪しかったぁぁああああああ!?!?!
そんな・・・・・日向さん・・・・・。
からのー。
や っ ぱ り お 前 か
どうしてか最初の殺人鬼の内面のシーンでこいつっぽいなぁと怪しんでいたら最後にやっぱり出てきた。ただこれは根拠のない予想だったから、ただの偶然なんだけど・・・。
一花ちゃんが死んだのは、あんまりショックじゃない。描写が少しだったからかな。
その薄さから裏を読んで4巻で復活とかしちゃったり・・・?という淡い期待。
でも、二人も生き返るようなことがあると、緊迫感無くなってしまいますかね・・・。
気になった点
・ソウルテイカーという化物たちの正体らしきものが突然出てきたこと。
・斗和は前回のゲームがなぜ11時間程度だと知っているのか。
・今回のゲームは制限時間が12時間らしいがどうやって測っているのか?
・日向さんが殺人鬼から正気に戻ったと思われるシーンで日向さんに何があったのか?
唐突過ぎて理解が出来なかった。演技の線も自分の中では捨てきれていない。
ピアスをメッセンジャーの二人が持っていたってことは、日向さんが殺して回っていたってことだと思うんですけど(手斧も持ってたし)、そういうのも全て操られていたのか、それとも共謀していたのか、ということ。
現段階では、演技でも説明がついてしまうような気がして。
・真湖ちゃんが俗にいう〈生還者〉っぽいということは、斗和以外、他の場所でもこの現象が起きている?
・真湖ちゃんにかかってる〈制限〉。
・笠根木の異能力はどう関わってくるのか。
・御手洗と灰村さんは死んでない・・・よね?途中から出てきてない気がしてどうなったのか気になる。
勝手な妄想(どこまでも身勝手なのでご注意ください)
「キミズレ」「俺味」と続けて「アインズヴァッハの門」が出てきたので、世界の何処かにアインズヴァッハの門を潜った人間たちによる組織とかありそう。身体的だけじゃなく、頭もキレてるので、案外あってもおかしくは無さそうだなとか。
神悠言の組織像・全体像がどうなっているのか。
櫛灘財閥との関わりとか。
明らかにゲームを企図している組織・人物――(2巻のラストから)たぶんかりもちゃんがいる組織=神悠言だと思うんですが――がいるっぽいので、その辺どうなるのか。
あと今巻やっと出てきた神悠言など、現実世界がこれからどれくらいページ割かれるのか。
このままゲーム世界がページのほとんどを割いてしまうのかなぁ?
それだといつか破綻しそうで少し怖い。けど、3巻読んだ人は実感していると思うのですが、構成すごく上手いので、このままゲームの連続でも飽きが来なさそうなんですよね。
最後に。
1,2巻は連続刊行だったから気にならなかったけど、3,4巻は数ヶ月は開きそうなので、内容忘れてそうで怖い。何より俺が生きる意味のこと思い出す度にこんな早く続き読みたい衝動に襲われるのが辛くもあり楽しみでもあり。
最後の最後に。
こうやって、久しぶりに更新したくなるほど面白かった。
1,2巻でパッとしなかったところが、3巻で晴れた気がしました。