ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか2
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか2(GA文庫)
(大森藤ノ/ヤスダスズヒト)
評価☆5(8段階中)(本当は☆6でもいい)
ジャンル:冒険ファンタジー+ハーレム(ラブコメ)?
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか2の感想です。
「ダンいる」キャラクター紹介も合わせてどうぞ!
あらすじ
「初めまして、白髪のお兄さん」
ベルに声をかけてきたのは、自ら《サポーター》を名乗る少女・リリだった。半ば強引にペアを組むことになった少女を不審に思いながらも、順調にダンジョンを攻略していく二人。束の間の仲間(パーティー)。
一方で、リリが所属する【ソーマ・ファミリア】には悪い噂が絶えない。その先には、人の心までも奪うとされる《神酒(ソーマ)》の存在が―?
「神様、僕は……」
「大丈夫、ベル君の異性(ひと)を見る目は確かなのさ。
神(ボク)のように、きっとね」
これは、少年が歩み、女神が記す、
――【眷属の物語(ファミリア・ミィス)】――
個人的あらすじ&ちょっと解説
1巻の感想で、「世界観はファンタジーRPGが想像しやすい。今巻の舞台は専らダンジョンか主人公の住む町だったので、…狼と香辛料のアニメ見てたのもあって…狼と香辛料の町並みを下地に想像して読みました。ダンジョン部分はSAOとまおゆう混ぜたような感じを想像して…」
と言いましたが、2巻を読んで少しイメージが変わりました。
世界観はファンタジー+RPGゲーム。(と表記したほうがいいかも)
町並みは人それぞれ想像しやすいものがあると思うのでコレ!っていうのはありませんが、やはり自分は狼と香辛料の町並み。ダンジョン部分はドラクエまたはSAOといった感じ。
そして個人的に付け加えたいのが
キャラクターのビジュアルです。
こういったゲームが元になってるものだと、過去に自分がプレイしたゲームのビジュアルで想像してしまうのですが、これはFFシリーズの新しいビジュアル、あのとても綺麗なビジュアルがとても似合うものになってると感じました。私はFFシリーズプレイしたことないのですが、それでも「この作品にはFFのあのビジュアルが合う!」と常々感じながら読んでいたほどなので、読んでいただければたくさんの方に共感していただけるんじゃないかと思います。
ヤスダさんのイラストが、有名なRPGゲームの中ではFFに近かったのも想像しやすい理由かもしれません。
あらすじについて解説。
・「自ら《サポーター》を名乗る少女・リリだった。」
まず《サポーター》とは冒険者がダンジョン内で倒したモンスターからドロップした魔石やアイテムを拾って、冒険者の代わりに荷物を持つことでお金をもらう人達のことです。この世界では《サポーター》は冒険者になろうとしたが力が足りずなれなかった冒険者崩れだったり、冒険者にこき使われ、言いなりになることでしかお金を得ることが出来ない、言わば社会のゴミのような扱いを受けているものとして書かれています。
ですから「自ら《サポーター》を名乗る」ことは人としての恥でもあるということです。
・「一方で、リリが所属する【ソーマ・ファミリア】には悪い噂が絶えない。その先には、人の心までも奪うとされる《神酒(ソーマ)》の存在が――?」
そして心優しいベルはリリとも良い関係を築いていたように思えたが、リリの所属する【ファミリア】、…私たちの想像するところの「ギルド」と同じ…には悪い噂が絶えない…。リリにはベルに話せない事情があるらしい。ベルの身は果たして大丈夫なのだろうか?という感じです。
(そんな彼の為に彼を気にかける女性陣が奔走するところはとても思いやりに溢れていて良かったです。)
感想
まず全体的に1巻よりは面白い。慣れというのもあるのだろうが、文章そのものが上手くなってると思う。そして前回「日常会話のシーンで冷める場面があった」と言ったところが皆無だった。
これはデカイと思う。個人的に、最初から最後まで「ふむふむ、面白い」と思えることの重要さが1巻2巻通して分かった。
進行の拙さも解消されてて、これどういう場面?っていうことも起こらなかった。
話全体を見た時に著者の大森藤ノさんの成長を感じられる。
内容をぱっと俯瞰するように見ると1巻2巻通して「人への思いやりで溢れている」ことが一つ特徴だと思う。(人との関係が薄れつつある今だからこそ「思いやり」という部分を強く感じているところもあるのかもしれない。)思いやりは主人公のベルが神ヘスティア(ロリ巨乳)へ向けているところが分かりやすく微笑ましいが、それ以外にも神ヘスティアがベルへ向けてだったり、ベルのことが気になっているのかも?と思い始めたギルド勤めのハーフエルフ、エイナ・チュールがベルへ向けてだったり、酒場『豊穣の女主人』のヒューマンウェイトレス、シル・フローヴァがベルへ向けてだったり…。ベルへ向けての思いやりが多いのは当然なのですが、それ以外にもたくさんの思いやりで溢れている。
【剣姫】ことアイズ・ヴァレンシュタインはベルの目に付かないところでちゃっかり思いやっている。ただしベルには見えていない…。
思いやりって普段の生活でやっても味気ないというか、当たり前すぎる部分があって気付かないこともある。でもファンタジー世界だからこその「ファンタジー世界流思いやり」で登場人物たちの心理を自分のことのように読ませるのは個人的には好き。これからも是非続けて欲しい。
ここまで思いやりについて書いたのですが、そこから言えることは、
・文章が上手くなっていること
・内容を細かく描写出来るところまで作品の骨格が出来上がってること
・キャラクターを動かせていること
・キャラクターが様々な要素で溢れていること
などが言えるんじゃないかと思います。
これは1巻では感じなかったことです。
それらを踏まえて、これからの発展が大きく見込めると思う。
冒険ファンタジーだからこそっていう部分も
多分にあると思うんですけど、
こんなに可能性に満ちている
作品はなかなかないと思うのです。
まだ始まったばかりだというのにこんなに
ワクワクする作品は初めてかもしれないです。
この、忘れていたワクワク感を思い出してしまうほどにはワクワクしています(笑)
もちろん、思いやりばかりがこの作品を読んで言いたいことではないのです。
内容の続きですが、今巻ではあらすじ部分からも感じられる通り不穏な空気が漂ってます。
あらすじから続く不穏な空気は本文中でもところどころから降って湧いてくる…。
ベルに振りかかる最悪のシナリオ…。彼を貶めようとする誰かがいる!?果たしてそれは誰なのか…。当のベル本人はそれに気付くことが出来ない。彼の優しい心につけ込んだ某の悪行とは。
彼を心配する女性陣はこれを機に(1巻ではほぼベルの独壇場なので)やっと動き出した感じ。
そういう意味でもタイトルの部分がやっと浸透してきたと感じた。
タイトル繋がりで「出会いを求めるのは間違っているだろうか」という部分が巷で「合ってない。違うんじゃないか。勿体無いタイトルの付け方をしている」と言われているのです。確かに自分も勿体無いと思います。読んだから言えることなのですが、もう少しマシな、というかこの作品に合っているタイトル、もっと上を目指すに値するタイトルはあったような気はします。
しかし今でこそ(先程述べたように)「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」というタイトルがそこまでダメかと言えばなかなかいいじゃん!という感じがしてきたのも事実。ただ最初はタイトルに全く興味を示さなかったのも事実。
だから口コミ等々でそのイメージが払拭されて内容にも触れられる機会が増えればこれから読者は増える。確実に。
何より試読版が16P分公開されているので、
読めばきっと読んだ人の中では
話題になると思う。
興味がなくてもたった16Pなので
ぜひ読んでみてください!
下のリンクから試し読みページいけます。