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新世界より(上/中/下)巻 読了

新世界より(著・貴志祐介)の感想です。

評価☆7(8段階中)

ジャンル:SF(ミステリー,ホラー,冒険)

あらすじ

舞台は1000年後の日本。神栖66町(現在の茨城県神栖市周辺)。

一連の流れは主人公である渡辺早季(わたなべさき)が人類に襲いかかった大きな試練を未来の人類に教えるべく、事の顛末を記すことで進む。

日本列島には9つの町しか存在しておらず、互いの町は没交渉。人類は八丁注連縄という町全体を囲った注連縄の中で生活を送っていた。

子どもたちは10歳ほどになると呪力を得る。早季たちは日々学校で呪力に磨きをかけ、倫理観などを教えられていた。

季節が夏になると早季たちは夏季キャンプで7日間キャンプをすることになる。

多少のネタバレあり?(反転してある部分)

その道中、早季たちは規則を破り、八丁注連縄の外を探索をする。そして早季たちはミノシロモドキという都市伝説的な生物を発見し捕獲する。しかしこの生物は自走型国立国会図書館(移動式図書データベースのようなもの)で早季たちの拷問により、触れることが禁忌であることを話してしまう。

そこで語られたのはとてもおぞましく恐ろしい人類の血塗られた歴史、先史文明崩壊の引き金となった恐ろしい存在であった――。

感想

初・貴志祐介作品です。原稿用紙2000枚分、ページ数は1500ページ弱にも及ぶ長編超大作でした。

貴志祐介さんは描写などが丁寧なところなどが特徴のようで、本作でも一貫して丁寧でした。

そのため考え込まれた遠未来SFの世界観にも関わらずそのイメージが次々と浮かんできました。

SF作品ではイメージできるかというところはそのまま作品を楽しめるかというところに直結するのでその点はこれ以上ないくらい良かったと思います。(もちろんそれ以外もとても良かったのですが)

SF作品として読み始めた本作でしたが、読み進めるうちに様々なジャンルを汲んでいることがわかりました。

それは不可解な点を追求していくミステリーのようでもあり、逃走を図るアクションのようでもあり、戦争さながらの冒険小説のようでもありました。

思えば私が新世界よりを読みたいと思ったのも、ミステリー要素を感じたからでした。

解説の大森望さんも「骨格となるアイデアと設定はSF。プロットはミステリー。モチーフは伝奇とファンタジー。クライマックスはモダンホラーと戦争アクション。少年少女の瑞々しさもあれば、冒険小説のようなスリルもある。」と書かれていました。

また「あらゆるジャンルの面白さをぶちこんで疾走する波瀾万丈一気通読の娯楽作」とも。

SFというたくさんの人が寄り付かないものが根本にありながら、様々なジャンル要素を取り込むことで誰が読んでも楽しめる高いエンターテインメント性を備えた作品でもあると思います。

特に「冒険小説のようなスリル」の部分はページをめくる手が止まりませんでした…。こんな気分を味わったのはかなり久しぶりで、懐かしくデルトラ・クエストなんてものを思い出したりもしました。

そしてラストは(描写が丁寧な分、世界観への没し方もいつも以上だったので)さながらこの世の終わりを見ているような気分でした。あまりの凄惨さに読んでいるだけで言葉を失うほど。

アニメから入って、ある程度面白さなども想定していたのですが、想定していた以上に圧倒的に面白かった

総評

徹底した世界観と丁寧な描写でイメージしやすく、世界観に入り込める。

様々なジャンルの要素を持ち合わせているので誰が読んでも楽しめる。

読者を先へ先へと読み進ませる疾走感でのめり込み、総ページ数1500弱という超大作で読み応えも抜群。